6歳の子どもと車で録音を聴いていたら

子どもと車に乗っていて、ユーチューブ等で自分の録音や他の人がとった録音を色々と流していた時、「これはパパの録音か?」と言うので、「そうだよ」と僕。

そうしたら、「パパの録音は優しい音だから、ずっと聴いていても疲れない。他の人のは、音がごちゃごちゃしていて混ざっているから、頭がくらくらしてもう聴きたくなくなる。」との事。

その通りで、マルチマイク録音では、録音した後に、たくさんの音を人間の判断で混ぜ合わせる(ミックスする)わけです。ミックスの腕がかなり重要になってくるはずで、並のエンジニアがやると不自然にごちゃごちゃとした音になってくるのではと思います。

子どもの感覚というのは素直で鋭いため、日々勉強になっています。

そのあとも続きがあって、僕が「でもこの80年代の少年隊のABCはマルチマイクのはずだけど、音が良いよね」と訊くと「たぶんその頃はミックスする人が上手だったんだよ。それに今よりもマイクの本数は少なかったんじゃないかな」と少年。

まさにその通りだと思うので、少し聞いただけで的確に言葉にできる6歳にただ驚くばかりでした。

自分でも日々思っていることですが、何十本もマイクを使う録音が主流の現在では、それぞれのマイクで拾った沢山の音を人間の判断で混ぜ合わせているが、どうやっても音がかぶって濁ってきたり、自然な音を再現するには相当な腕が必要だと思います。

クラシックの録音の場合、ほとんどのマルチマイク録音は、僕のワンポイント録音(マイク二本のみ)に、音の良さでは勝てないのではという感覚があります。ただし、マルチマイク録音は、演奏でミスをしたところの修正がしやすいという目的でやる場合のほうが多いのかなと思います。

録音のプロとしては、失敗しないことと、どんな演奏であっても修正して商品化することが重要なんだろうとは思うが、それによって失っているものも大きいのではと、正直思う。

見た目が良くないと売れないからと言って、農薬かけまくって作った野菜に似ているかな。外見、見た目は完璧なんだけど、なんかうま味がないし、味が変。 あまり食べたくない、となる。

現在主流の録音も同じようになっているのではないかな。